桜日和

たゆたう水の中流るるが如く うた方にただよいしこのわが身は
熱病におかされしか 乾き飢えて もつれ足でさまよう
春のどけき光の中 そびえ立つ木は 散り行くを知り されどただ咲き誇る
風に舞う花も誇らしげに散り 落ちては土に返る 一本の桜花

鮮やかに若く萌ゆる緑の葉がこすれあいてザワめくは笑い声
木もれ日の中 飛び交う小鳥の声に紛れど確かに漂う花の香り
はらはら落つるただただ舞う花びらに誘われ仰ぎ見れば
大きく深く静かにたたずみ されど乱れ咲く 一本の桜花

はらはら落つるただただ舞う花びらに囲まれ仰ぎ見れば
大きく深く静かにたたずみ されど狂い咲く 一本の桜花

まだまだ遠き わずか数歩先 進めど届かぬ その桜花
今散り行けど 又咲き誇り 身の前に立つ 桜を見て行こうか

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